人口構造と税制 2014 11 3

 基本的に、消費税の増税は、
景気を冷やすのが明白なので、
私は、反対の立場ですが、
日本の人口構造を考えれば、
一概には反対できないものがあります。
 深刻な少子高齢化によって、
日本の人口構造は、逆ピラミッド型になるでしょう。
つまり、高齢者の人口が多く、若年者の人口が少ないという構造です。
 一方、社会保障においては、
日本の年金制度は、働く世代から、高齢者へ、
「仕送り」という仕組みになっています。
 もちろん、自分で積み立てた年金もあるでしょうが、
それだけでは不十分なので、「仕送り」が必要です。
 さらに、政府支出においては、
かつては公共事業費が多いと言われてきましたが、
今は、国民医療費の増加が大きく、
その中でも、高齢者医療費が政府支出にとって大きな負担になっています。
 今の日本の社会保障制度は、
人口構造がピラミッド型であることを前提としています。
その人口ピラミッドがひっくり返りつつあるのです。
 こうした現状を見れば、
今の年金や医療が持続可能なものとは言えません。
 今後、人口増加が見込まれるのであれば、
今の制度で、何とか、やりくりできるでしょうが、
子供や若者が減って、高齢者が増えていくという社会では、
年金や医療も持続することは不可能でしょう。
 そのため、所得税の増税を考えても、
今の若者は、非正規労働者、
つまり、派遣労働者やフリーターが多く、
さらに、昔のように年功序列制度がないので、
たとえ正社員になることができても、生涯にわたって低賃金の可能性があります。
 これは、現在、経済に国境がなくなって、
先進国の単純労働者が、発展途上国の単純労働者と競争になっていることも、
原因の一つと言えるでしょう。
 一方、高齢者になると、納税の機会が少なくなります。
さらに、国民の金融資産は、1600兆円と言われていますが、
高齢者が、その資産の6割を保有していると推定されています。
 極端なことを言えば、
「人口が少なくて貧困の若者、人口が多くて裕福な高齢者」ということなります。
 このような人口構造で、
年金や医療を持続可能なものとする税制は、消費税しかないでしょう。
 もちろん、貧困の若者や高齢者に対しては、
所得や資産を把握した上で、「生活保障」のようなものが必要でしょう。
 さて、今から30年後の日本。
スリム化した日本が、
いや、正確には人口構造がスリム化した日本が、
どのような舵取りをしていくのかは想像できませんが、
少なくとも、税制は、簡素なものとすべきでしょう。
これが、私の「未来へ送る遺言」です。























































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